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エマルションフローテクノロジーズ徹底解説|原子力機構発の技術で挑む、非上場ベンチャーのレアメタル水平リサイクル

住友金属鉱山や三菱マテリアルのような大手非鉄コングロマリットが並ぶレアアース業界の中で、茨城県東海村発の小さなベンチャー企業が独自の存在感を放っています。日本原子力研究開発機構(JAEA・原子力機構)の技術を核に、リチウムイオン電池からのレアメタル回収に挑む「エマルションフローテクノロジーズ」です。非上場企業のため決算数値は非公開ですが、資金調達の軌跡と提携実績をたどることで、この会社の実力と将来性を読み解きます。

会社概要とレアメタル・レアアース事業における立ち位置

エマルションフローテクノロジーズ(EFT)は2021年4月5日、茨城県那珂郡東海村で設立されました。代表取締役は鈴木裕士氏。設立と同年に原子力機構発ベンチャーとして認定を受けており、「原子力科学でSXを駆動する」をパーパスに掲げています。事業の柱は、①リチウムイオン電池(LIB)リサイクルを中心とした資源循環事業、②顧客の課題に応じてプロセスを開発・製造する受託開発事業(EFTファウンドリー)、③PFAS(有機フッ素化合物)除去などの環境ソリューション事業の3つです。

住友金属鉱山や信越化学工業のような大手が「量産化の橋渡し役」を担うのに対し、EFTは「特定工程に特化した技術」で勝負するタイプのプレイヤーです。2023年10月には、経済産業省が選定する有望なスタートアップ支援プログラム「J-Startup」にも選ばれています。

独自技術:「エマルションフロー」とは何か

同社の核となる技術は、原子力機構が開発した溶媒抽出技術「エマルションフロー」です。従来の溶媒抽出技術と比べて、低コストかつ高効率に高純度な元素分離を可能にする点が特徴とされています。この技術を使い、廃棄されたリチウムイオン電池に含まれるリチウム・コバルト・ニッケルといったレアメタルを、低コスト・低環境負荷で高純度に回収し、そのままハイテク産業に再利用する「水平リサイクル」の事業化を目指しています。

2026年7月2日には、500Lスケールの実証プラントが完成・稼働を開始したと発表されており、ラボスケールから実機スケールへのスケールアップが着実に進んでいることがうかがえます。

資金調達の軌跡:シードからシリーズDまで

非上場企業であるEFTの成長を測る最も分かりやすい指標が、資金調達の推移です。

時期ラウンド・出来事
2021年シードラウンドで第三者割当増資、8,000万円を調達
2022年シリーズAラウンドを実施
2023年7月NEDO「部素材からのレアアース分離精製技術開発事業」を受託(約1.9億円)
2023年10月経済産業省「J-Startup」に選定
2024年3月シリーズBラウンドで13.5億円を調達(Value Chain Innovation Fundがリード、日本政策金融公庫からの3億円融資含む)。これにより創業来の累計調達額は約20億円に到達
2025年4月頃本田技研工業・リアルテックファンドなどを引受先とする追加の資金調達(約4.5億円)を実施
2026年2月シリーズDラウンドを実施(NCBベンチャーキャピタル・未来創造キャピタルなどが主要投資家)

創業からわずか5年でシリーズDまで駆け上がっている点、かつ本田技研工業のような事業会社が出資者に加わっている点は、技術の実用性に対する評価の高さを示しています。ただし、シリーズD以降の具体的な調達金額や累計調達総額については、本記事執筆時点で確定的な数値は公表されていません。

提携実績:大学・国研・大手企業との連携ネットワーク

EFTのもう一つの強みが、幅広い提携ネットワークです。

ポイント:EFTの提携先は「大学(基礎研究)」「大手企業(実装・事業化)」「政府機関(NEDO・環境省)」の3層にまたがっており、技術シーズを事業化まで橋渡しする体制が比較的早い段階から整っている点が特徴です。

将来性と課題

2026年中の商業プラント稼働を目指すとされており、500L実証プラントの稼働開始はその一里塚といえます。LIBリサイクルという当初の主戦場に加え、PFAS除去という環境ソリューション分野への展開は、レアメタル価格の変動リスクを分散させる意味でも理にかなった多角化です。

一方で、非上場ベンチャーである以上、実際の収益性・量産時のコスト競争力は今後の実証プラント・商業プラントの稼働実績を見なければ判断できません。大手非鉄コングロマリットのような資金力・生産インフラを持たない中で、いかにして「特定工程のニッチトップ」としての地位を確立し、大手との協業を広げていけるかが今後の焦点です。

まとめ

エマルションフローテクノロジーズは、原子力機構発の技術力を武器に、わずか5年でシリーズDまで到達した、日本のレアメタル・レアアースリサイクル領域における有力ベンチャーです。エンビプロ・ホールディングスや東京大学との連携、そして環境省のPFAS実証事業への採択など、「大手×専業×ベンチャー」という重層的なサプライチェーン構造の中で、着実に存在感を広げています。

本記事は2026年8月時点で公表されているプレスリリース・報道等をもとに作成しています。同社は非上場企業のため、決算数値は含めず資金調達額・提携実績を中心に構成しています。事業内容・資金調達状況は変化する可能性があるため、最新情報は同社公式サイトをご確認ください。本記事は特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。

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