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双日【2768】徹底解説|豪ライナス提携で脱中国レアアース調達網を牽引する商社王者

日本のレアアース安定調達において、最も重要な役割を果たしてきた商社が双日です。2010年の日中尖閣諸島問題に伴うレアアースショック以降、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共に豪ライナス社への資金支援と長期調達契約を推進。中国依存脱却の最前線を走ってきた同社の立ち位置や最新業績、今後の展望について解説します。

企業概要とレアアース事業における立ち位置

双日はニチメンと日商岩井の統合により誕生した総合商社です(東証プライム上場・証券コード2768)。自動車、航空・社会インフラ、金属・資源・リサイクルなど多角的な事業を手がける中で、特に「レアメタル・レアアース等の資源権益とトレーディング」に圧倒的な強みを持っています。

日本のレアアースサプライチェーンにおいて、双日は「最上流の権益確保・原料調達」の要です。豪ライナス(Lynas Rare Earths)が採掘・精製する軽レアアース(ネオジム・プラセオジムなど)の日本向け独占販売権を所有しており、国内需要の3割以上を同社経由で安定供給できる体制を確立しています。

独自技術・精製アプローチの解説

双日自らは精製工場を持たないものの、「海外有力権益への資金投入・ジョイントベンチャー組成・流通ネットワークの構築」を通じて日本の産業界を支えています。

特に評価されるのは、地政学リスクを先回りした調達網の多角化です。ライナス社との協業にとどまらず、近年は重レアアース(ジスプロシウムやテルビウムなど)の供給網確保に向けて重レアアース開発案件への参画を推進しています。将来的な南鳥島レアアース泥プロジェクトにおいても、商社としてのグローバルな販売網や物流インフラの提供、権益管理の面で参画が大きく期待されています。

収益構造と利益体質

2026年3月期の連結業績(IFRS)は、金属・資源・リサイクルセグメントや自動車・社会インフラ分野の堅調な推移を受け、収益(売上高相当)約2兆6,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,050億円規模を達成しました。配当も高水準を維持しており、総還元性向35%以上を掲げています。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想
収益(売上高相当)2兆6,500億円2兆8,000億円
親会社帰属当期利益1,050億円1,120億円

双日の業績全体に占めるレアアース事業の割合は限定的ですが、資源価格変動リスクに強い非資源分野の伸長と組み合わさることで、堅牢な収益基盤を形成しています。

将来性と成長ドライバー

成長の軸となるのは、経済安全保障の高まりに伴う「脱中国サプライチェーン」の価値向上です。日米欧を中心とする西側諸国がレアアースの脱中国化を進める中、中国国外で大規模な精製能力を持つライナス社との強固なパイプラインは、今後の欧米市場向けトレード拡大においても強力な武器となります。

抱える課題とリスク

主たるリスクは、石炭・銅などの資源市況の低迷や、レアアース国際市況の急落です。また、ライナス社のマレーシア精製工場における操業許可問題や環境規制の変化など、海外拠点の規制・地政学リスクをダイレクトに受ける側面があります。

投資家・市場からの評価

株式市場では、高配当・自社株買いに積極的な「PBR1倍割れ改善銘柄」として高く評価されているほか、経済安全保障銘柄としての評価も定着しています。南鳥島プロジェクトや国家的なレアアース備蓄・調達方針のニュースに対して敏感に反応しやすいテーマ性を備えています。

本記事の財務数値は2026年3月期決算短信等、公表されているIR資料をもとに2026年8月時点で作成しています。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で、最新の決算・適時開示情報をご確認のうえ行ってください。

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